渡口政吉と尚禮舘空手

沖縄の尚禮館道場(初期)

 

こちらでは、渡口政吉と尚禮舘空手の指導体系についてお話をさせて頂きます。

 

 

 

 

尚禮舘 空手道指導教本からの言葉

 

 

以下「尚禮舘 空手道教本からの書き出し」

 

まえがき  渡口 政吉

本書は沖縄空手道剛柔流尚礼館の指導教本である。
昭和11年10月25日、沖縄県那覇市において琉球新報社主催による、沖縄空手道大家の座談会が開かれた。その席上、剛柔流開祖宮城長順先生は次のように発言されている。

「空手の型の問題については従来の型はそれぞれの先生方による古式の型をとして残し、全国的なものは新しく編み出す方が良いと思います。
攻撃、防御の両方とも、小学校、中学校、大学、青年学校の人々にそれぞれ適合する型を作ることにして振興会が主となって作り、全国的に普及するようにしたい」。

この宮城先生は、統一型として撃砕第一および第二を作り普及された。そして上級に進むにつれて撃破の型を加えてゆかれるお考えであったが、
戦争のためにその計画は中断された。残念なことである。

さて、私は道場開設以来、統一普及型の研究をはじめ、撃砕第一の型より初心者用、少年用として普及型第一および第二を作り、
さらに高度の技を取り入れ、撃砕第二、撃砕第三、撃破第一、および第二、鶴破第一および第二 白鶴の型を作った。

それに加えて分解組手を作り、型と分解組手を平行して指導するようにした。また基本組手を作り、その過程の基本技の習得に役立てた。
この教本は、道場へ行けない人々の独習書としても最適であると思う。

 

 

 

 

兄弟子 八木明徳先生からの言葉


以下 尚禮舘/尚礼館 道場開設25周年 パンフレットより 書き出し

祝辞の言葉 八木 明徳先生

私が故宮城長順先生の代稽古をつとめている時分故比嘉世幸兄は那覇で空手道場を構えた。その弟子で戦前戦後を通じて空手を続けて来たのは渡口政吉君と
故福地清幸である。勿論宮城長順先生の指導も直接受けていた。

今は亡き比嘉世幸兄の直系と言えば残された彼1人になってしまった。終戦直後沖縄で剛柔流の空手道場を最初に設立したのもおそらく渡口政吉君がはじめてであろう。
彼の弟子の中には全沖縄空手道連盟で教士が二人も誕生しており、その他にも錬士、教士が大分いる様である。
私は渡口君が東京で空手道場を持つようになってから上京するたびに彼の道場に立ち寄ってその指導方法や練習ぶりを見ているのが真に道理立然として見事なものである。

おそらく在日空手道家で剛柔流と言えば渡口君が空手歴も長く正しく指導方法をとっていると私は信じている。
彼は余りお世辞を言わず、自己の信ずる道を誰にも遠慮なく邁進している男の中の男である。彼が日本の首都東京都で剛柔流の指導に当たっている事は真に力強く頼母しい限りである。
私は何故彼が在日剛柔流で会長や理事長等の要職に就き活躍しないのか不思議でたまらない。在日空手道家で沖縄で一番長く剛柔流を続けてきたのは渡口君ではないだろうかー。

彼はたびたび帰郷すると空港からまっすぐ私の道場を訪れ空手の事に関して数時間を費やし、それが終わると真っすぐ沖縄市に在る自分の道場に直行して、門弟の指導に当たり空手一筋に
一生を打ち込んでいるとうい感を受ける。私は渡口君が立派な空手の才能を有し乍(ゆうしながら)何故か埋もれているような気がして寂しくてたまらない。

幸い今年は彼が道場開設25周年を記念して、演武大会を開催するとのことを耳にし今度こそ空手を愛し空手を志す人々が彼の実力を認め彼が空手剛柔流の良き指導者として君臨せられんことを祈願して手足らずではあるが私の祝辞と致します。

 

 

 

尚禮舘 渡口 政吉 系譜 1917年~1998年

1933年剛柔流開祖宮城長順の弟子である比嘉世幸の道場に入門。
宮城長順と比嘉世幸にの両先生に師事する。

1952年宮城長順を会長として剛柔流振興会が結成常任理事に就任。

1953年師宮城長順の死去により剛柔流振興会を空手道剛柔会に改称。
会長を比嘉世幸、副会長渡口政吉。

1954年空手道剛柔流研究所尚禮舘創立。

1956年沖縄空手道連盟理事に就任。

1960年10月に上京し本土へ空手普及。

 

 

 

尚禮舘指導体系

その一武術がこんにち世界各地に広まったのは、少人数で秘密裏に行われた稽古から指導体系を作り、誰でも稽古出来るように一般公開そして集団指導された事にあります。
私達は、空手を学び習得するには指導体系が一番大事な部分だと思い普及しております。

 

 

 

1、東恩納先生の指導体系

こちらの東恩納先生の体系は表で表すと図の通りです。基本と開手にわかれ比較的シンプルな指導体系が見る事がわかります。当時はこのように行われていたようです。


 

 

 

 

2、宮城先生の指導体系

宮城長順先生の指導体系は、日本の武道に参加する為に体育的に体系化され各学校等でも学びやすく変わっていったようです。
まずは、予備運動(準備運動)、自重での体操的な運動、器具を使った補助運動 それから型や組手になります。

 

 

 

 

3、渡口政吉先生の指導体系

宮城先生の指導体系をさらに細分化し古武術や、リズム空手(リズム棒)、最後の整理運動まで確立しました。
さらに、解裁の原理をもとに古流型を紐解き、習得しやすい様に古流型(10個)と同じ数の10個の普及型と基礎組手を創作します。(撃砕1、2は宮城先生創作)
最終的には解裁までたどり着きます。

 

 

上記の資料はすべて渡口政吉先生の空手研究資料より

 

尚禮館空手の3つの特色

1、代々受け継がれる剛柔流の流れを組む独自の指導体系

尚禮館空手では、初心者からスタートして明確にステップアップできる為のカリキュラム(指導体系)があります。
上記の図を見ていただき比較してみてください。

 

 

 

2、体育的な型から古流型 そして創作型への発展

宮城長順先生が発案した指導を渡口先生が発展させ完成させました。
渡口先生が創作型「白鶴の型」そして「合掌の型」などがあります。

  • 普及型 撃砕第1 撃砕第2 (宮城長順先生創作)
  • 普及型 第3
  • 撃破  第1 第2
  • 鶴破  第1 第2 第3
  • 白鶴の型
  • 合掌の型
  • 分解組手
  • 基礎組手(初段から十段)
  • 古流型の分解組手
  • 少年部用沖縄のリズムで行うリズム空手
  • リズム棒術

 

 

 

型を実践に使う為の公式を学ぶ「解裁~かいさい~」

型を修得しさらに実践に活用するためには、その型を解裁という方程式で解かなければなりません。長年の稽古の末に奥義ともいえる解裁を身に着ける事が出来ます。

 

 

 

尚禮館の紹介動画はこちら

上記の内容は、こちらの動画を見ていただくとより理解しやすいと思います。

尚禮舘の動画紹介

 

 

 

 

 

投稿日:2019年10月11日 更新日:

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